20代、国鉄職員を辞める末期の頃、
印刷工場へ 日雇いのバイトに 職場の先輩と行った。
朝8時から20時まで12時間拘束、日当5千円は現金払い。
荷物を受付に預け、工場のラインに立った。
印刷したての少年ジャンプが 3冊流れてくるので、
互い違いに10冊にし、隣のラインに流す仕事。
12時、お昼の休憩まで 4時間が経過した。
「先輩!20時まで立ちっぱ 勤まる?脱走しない?」
「逃げるか!あそこに非常口があるぞ!」
「受付に預けた荷物はどうする?」
休憩終了~13時のラインが動く前に 持ち場に立たねば、
少しでも遅れたら、床に少年ジャンプが散乱する。
15時に10分トイレ休憩が あっただろうか?
あとは20時まで「無心」に尽きる。
家に帰ったら、両足が真っ青に腫れていた。
日払いでもらった「5千円札」重くて 使えなかった。
北海道のドラマ「北の国から」名シーン。
富良野の中学を卒業し上京する、純。
農業を営む 父の五郎は、知り合いの運転手に
「東京まで乗せてくれ」と 1万円札が入った封筒を渡す。
トラックは出発し、運転手は純に「受け取れん」と言う。
純が封筒を開けると 泥のついた1万円札が入っていた。
「親父の手についた泥だ。お前の宝。一生とっとけ」
お金が労働の結晶である「重み」を思い知る。
今や、お金の重みを 感じる事が 少なくなったけど、
そんな経験は 大切な事なのではないだろうか。
私は フラフラになりながら受け取った 5千円札、
あれ以来、恐れ多く 高額紙幣は使えなくなり、
今もATMで現金を引き出す際、千円札 9枚まで。
あの経験から 給料は全部使うという 散財は改め、
倹約節約志向に なった私であります。