入学前から自転車が好きで、皆が練習している最中、
私は真っ先に補助輪が外れ注目を集めた。
調子に乗ってサドルの上に立ってみたり曲芸も。
転倒し背中を打って倒れていたら、
通行の人がバックを枕替わりにして寝かせてくれた。
しばらくすると救急車のサイレンの音が。
え!119番したんですか?親にバレたら叱られちゃう!
介抱してくださった方にお礼を言って這って帰った。
あの頃は番長っていう小学6年生がいて、
私ら低学年の面倒を見てくれ、戸田橋まで行ったり、
川の上流を目指したり、遠くまで行ける自転車で遊んでくれた。
昭和44年頃、フラッシャー付の自転車が発売。
豆電球が入った大きい方向指示器が格好良くて、
友達が親に「成績が全部5になったら買ってやる」言われ
彼は頑張って勉強し本当にオール5を取った。
ところが彼がフラッシャー付きを買ってもらう事は無かった。
調べたところこの自転車、当時のサラリーマンの月収価格。
話題になったが、私の町で実際に見た事はなかったし、
裕福な子が買ってもらったとしても、盗まれた可能性は大。
この頃、母が飲料水のセールス&配達の仕事を自転車でしていた。
東京の住宅不足を解消すべく、
エレベーターがない5階建の団地がたくさんある地域で、
ある日、母が階段から転落し足を捻挫して働けなくなった。
小学生の私が、団地専門の配達を、朝6時からする事になった。
父は日勤職で、この頃は土曜日も休みじゃなかったし、
大黒柱が本業を休めば、一家総倒れになる。
私が母を自転車の荷台に乗せて、通院もさせたんだが、
不注意から仕事用の自転車を盗まれてしまった。
さぁ困った!明日から配達の仕事は?母の通院は?
ウチの自転車に乗った同年代の子を、夕方に商店街で発見し
追いかけたが逃げられた。
彼も自転車が欲しくて、盗んでしまったのだろう。
仕事先販売店のおじさんが、見かねて代車をくれた。
そういえば中学の時に自転車で車にはねられた事もあった。
見通しが悪い交差点の停止線の手前で止まらない運転手もいるが
自転車が走ってくれば衝突する。
私の自転車のフロントフォークは曲がり足が腫れた。
運転手は子供の私に謝罪し修理の約束と連絡先をくれたが、
奥さんを迎えに行くからと走り去った。
私は足をひきづりながら、行きつけの自転車屋さんへ行って、
修理の依頼とともに事情を話した。
自転車屋のおじさんは「ひき逃げじゃないか!」怒った。
夜、親と自転車屋のおじさんも加害者宅へ行ってくれた。
その時、加害者の言い訳が「自転車が飛び出してきた」と。
私は「あ~大人って嘘をつくんだ」思った。
車にも接触跡があり、認めて自転車の修理代は払ってくれた。
「死人に口なし」って言葉もあるが、立場が弱い人が損をする。
今、私の車は前後、360°記録するドライブレコーダーがある。
事故時、人は自分に都合が良いように嘘をつくから、
事実を記録するのはとても大切です。